DEAR.
I:救急搬送
たった今、元気が取り柄の玲央が救急車に乗せられて、近くの大きい病院に運ばれていく。
玲央は、急に激しい頭痛を覚えて、家で倒れた。
ただの頭痛じゃないのは素人目でも分かった。
最初に異変に気付いたのは母だった。
リビングで唸りながら、頭を抑えて倒れている玲央を見つけた。
私と母は救急車に同乗し、病院へ向かう。
病院に到着すると、MRI等がある検査室がある階の廊下の椅子で、母と私の2人で待っていた。
「お父さんに電話してくるわね」
「あ、うん」
私は1人で、目を伏せていた。
玲央がこんなツラい思いをするなら、私がなれば良かったのに。
私は生きることに熱い想いは無い。
だけど、玲央は色んな人に好かれて、慕われて、大層幸せに生きてきた。
人生って不平等だな、と思った。
15分くらいすると、父が病院に着く。
3人で何を喋るわけでもなく、押し黙っていた。
喋ることが無いわけではない。
3人とも同じ想いだと思う。
…玲央、助かって。
そのひとつ。