想いはきっと痛くない
そうして、只今テスト期間真っ只中。

テスト終わりも一応図書室で勉強してるんだけど……。

藤堂くんは今、ものすごく焦っています。
だって……。


「なんで早めに終わらせておかなかったの?」

「いやー、だって、ね?」


軽く笑っていうけど……。


「だってじゃないよ!」

「何とか…!」


なぜか、藤堂くんは数学テスト前日までワークをやってなかったみたい。
明日提出なのに。

でも、さすがなのは、数学が得意だからすらすら解いていく。

このままいけば確かに終わりそうだけど……。
そうはいかないのが彼。


「ねぇ、あともう少しじゃん」


あと数ページを残して、藤堂くんは机に突っ伏している。

あと少し、彼ならきっと一時間もかかんない。
なのに、項垂れた声を出している。


「そのあと少しが俺にはでかい」


そんなわけ……ここまでやっておいて?

まぁ、詰めれば疲れるのはわかる……。
けど、ここで今やらないと絶対明日までにやらない気がする。


「……ここで諦めるのは、もったいないと思うけど」

「……じゃあ」


突っ伏していた彼がこちらを見た。

私は何?というように首を傾げた。


「終わるまで梓月もまってろよ?」


……何を言うのかと思った。

待っててって。


「いいよ? って、いつも通り最後までいるつもりだったし」

ここまでいて置いて帰るはないよ。
そう言うと、彼は「ん」と反応して、残りのワークに取り掛かった。

今日は少し、らしくない彼を見た気がする。


そして、図書館閉館間際。

テスト期間だからいつもより少し早め。


「終わったー……」

「お疲れ様」

「いやー……ちゃんと提出物やるなんて、中一初期以来だわ」


伸びをしながらそんなことを言う。

……嘘でしょ。
よく……って、そっか。

勉強自体はできるんだもんね。テストで成績何とか保ってたんだ。


「次からもちゃんとやりなよ?」

「……さーね」


さーねって。


「また直前にドタバタなっても知らないよ?」

「……」


黙りこくる彼。

もう。でも、それが藤堂くんか。


たった数週間だけど、少しずつわかってきた気がする。

面白いなぁ。
……人いて、苦じゃないのは、珍しいなぁ。

まだ、色々謎だらけだけど。

もし……ほんとにもし、教室に行けたなら、藤堂くんの謎……わかるのかな。
いや、でも。


「いけない、か」


無意識に小さく零れた。それを彼は聞き逃さなかったらしい。


「どこに?」

「え……ううん。何でもない」

「うそー」

「え?」


なんで?そんなわかりやすかった?

私が驚いて固まってると。


「さぁ、なぜでしょう?」


そういたずらっぽく笑ってから「ほら、帰るよ」と立ち上がった。

なぜでしょうって、教えてくれないの?
……なんで、バレたんだろう?
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