想いはきっと痛くない
「ほら、着いたよ」

「! え、わぁ! すごい、こんなとこあったんだ」


着いた、と言われ顔をあげるとだいぶ開けた場所に出た。

奥まで出てみると、綺麗に街並みが見えた。すぐ下には、電車が通ていて、少し奥をみれば学校があった。

日はもう完全に登ってるから、あれだけど夕焼けとか、朝焼けとか、絶対きれいに見られる。


「んー、今日は少し曇ってんな」

「でも、綺麗だよ。色とりどりの屋根とか」

「うん、知ってる」

「うん」


藤堂くんが少し前にでて、石のとこに腰を下ろした。ので、私も隣に座った。

あ、そうだ。とお母さんに一言。


【無事だよ。ごめん。今日少し遅れていきます】


と送っておいた。

すぐに既読が付いたけど、返信を見る気になれなくて返信が来る前に閉じてまた鞄の中にしまった。


「親、大丈夫なわけ?」

「んー、どうだろう。帰ったら怒られちゃうかもなぁ」

「やばいじゃん」

「うん、やばいね。でもいいの。今日は特別」

「……」


彼はそれ以上聞いてこなかった。少し静かになった。

電車の音がこの静かな空間を揺らす。風も心地よく抜けていく。


「ねぇ、藤堂くん」

「ん?」

「ここどうやって見つけたの?」

「えー、フラーってしてたら見つけた」

「なにそれ、すっごい雑!」


こんな坂の上の、その上。そんな早々見つけないよ。
喉まででかかって、吞み込んだ。今、それはよくない気がしたから。

目を瞑って、自然の音に耳を傾けた。風が木の葉を揺らして、聞き触りのいい音がする。

きっと、藤堂くんに出会わなければ、こんなところ一生来なかっただろうな。

だから、ここにいるのは、奇跡なんだろう。必然だったとしても、私にとっては何にも言変えできないほどの、奇跡。

肩の力が抜けて、なんとなく心が休まる。

きっと教室行かないにしても、学校は気を張らないと行けてなかったんだろうな。
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