想いはきっと痛くない
視線が苦しいと気が付いたのは、小学校高学年の頃。


元々、私は人前に出るのが苦手だった。けど、より視線を気にするようになったのは、高学年のとき。

私には、高学年のとき仲によかった子……きっと傍から見たら親友と呼べる子がいた。


でも、一度インフルエンザにかかって一週間ちょっと学校に行けないときがあった。

その時に何かあったのか、その子はいじめられるようになっていた。無事治って、週明けになると、その子はクラスのみんなから無視をされていたの。

その日、いなかった私には何があったのかわからないし、少なくとも私の前ではすごくいい子だった。だから、特に離れたりはしなかった。


でもね、一緒にいると、悪意の視線が私にもたくさん突き刺さった。どこにいても、見られている気がした。

……そして、一度耐え切れずに離れちゃったことがあるの。


でも、何もよくはない。

離れたら離れたで、その子の助けてという視線が飛んでくる。


「痛いんだ。悪意の視線と、助けを求める視線は。感情の強く籠った視線は、苦しくなるほど、痛い」

「……その子は?」


それまで黙ってた彼はそう聞いてきた。


「あの子は、誰かが先生に言ってくれて、解決したんだ」


そう、誰か、勇気が……違う。ちゃんとした子が、先生に伝えてくれた。


「……私も、もっと早く言えてたなら、私もあの子もあんなに苦しまなくて、澄んだのかなぁ」


あの子は今、どうしているのかわからない。

どうしても、離れていったのが申し訳なくて、それ以降私が話しかけることはできなかった。

彼女も、三年になるときに、転校してしまったらしい。
それも、風のうわさで、すべてが終わった新学期に知った。


そして、中学にあがってから、私は自分でも驚くほどに人の視線が怖くなっていた。


「中学校はね、がんばったんだー」

「……」

「お父さんにも、お母さんにも、言えなかった」


声には出さないけど、心配をされてるのは、それこそ視線でわかった。


「なんでだろうね。優しかった。けど……」


あぁ、そっか。その優しさが……。


「苦しかった」

「……うん」

「……ごめん、何が言いたいのかわかんなくなっちゃった」

「なんでもいいよ」

「うん」


何を言いたいのか……。

なんで抜け出したのか。

何のためにここに来たのか。
< 48 / 52 >

この作品をシェア

pagetop