想いはきっと痛くない
「あのね、藤堂くん」

「ん?」

「ごめんね」

「え?」


もしかしたら、これまでもいろんなことで知らぬ間に傷つけてたのかもしれない。

でも、それ以上に。


「昨日は、ごめんね」

「ああ、そういう……。梓月のせいじゃないよ。それに、きっとそれ以上に俺も言っちゃったから」


まっすぐに学校を見つめる彼の髪を、風が撫でる。

昨日、きっと藤堂くんが言ったのは、今まで溜めてきた本音。

知らぬ間に溜めていたのかもしれないし、昨日たまたま抑えてたものが溢れてしまったのかもしれない。


「梓月も、色々あったんだな。ほんと、昨日はごめんな」

「え、ううん。私も、結構強引だった、と思うし……」

「……そっか。っていうか学校大丈夫なの?」

「んー? だめかも」

「なんか、前も似たような話したな」

「だねー」


でも、少しだけ、今は気が楽。

話せたから、かな。

……そうだ、今日は藤堂くんのことが知りたくて来たんだ。


『いいよな、梓月は。親が理解あるもんな。先生が協力してくれるもんな。恵まれてるやつに、俺の気持ちはわかんねぇよ!』

昨日の彼の言葉が頭の中で反響した。


恵まれてる。


昨日今日で、彼の言葉の意味を痛いほど理解した。

なら、彼は……やっぱり家族関係、なのかな。


「……はぁー、今日も天気いいな」


彼の横顔を見た。


「……ねぇ、藤堂くん」

「何?」

「私、藤堂くんのことが知りたい」

「え?」


彼が少し驚いた顔をする。

昨日から、ううん。ずっと思ってた。気になる、好奇心じゃない。

もっと、知りたい。私に何かできないかを考えたい。


「ね、あなたの本音を教えてよ」
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