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09 魔法屋

「ああ。『ガタウリン魔法店』なら、俺もちょうど行くところだったんだ。道案内するよ。なんだか、リゼルって、すっごく運が良いね」

「えっ……ええ」

 曖昧に微笑み頷いた私は、運が良いのか悪いのかわからない。

 ……確かに命の危険を助けて貰えたことは運が良かったけれど、こんな町中で白猫の仮面被っている人の隣を歩きたい人なんて、百人中一人、居るかどうかだと思うもの。

 横からも顔をうかがい知ることの出来ない立体的な仮面には、上手いこと目の位置に穴が付いて居るのか、私の様子は良く見えているようだ。

 後頭部にある綺麗な銀髪は差し込んだ日光に透けて、なんだか白い猫の化身のよう。

 隣を歩きながら楽しげにふんふんと鼻歌を歌う彼をチラッと見て、何故仮面を被っているのか聞こうかと思った。

 けど、それを聞くことによって、何かに巻き込まれそうな気もして……それは嫌だった。

「君は俺の名前を聞かないんだね。リゼル。貴族令嬢ならば自分の名前を聞くのなら、そちらも名乗れとでも言いそうだけど」

 彼は不意にそう言ったので、思って居たことが知らずに口から出てしまったかもしれないと、私は口を手で押さえてあわあわと慌ててしまった。

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