冷酷夫からの離婚宣告を受けたので、次は愛してくれる夫を探そうと思います。
 いくら多くの財産を持つマクティア侯爵家と言えども、常には使用しない別荘へ割く使用人はそう多くはない。

 それは管理もする現当主であるジャレッド様ご本人が、一番に理解していることだろう。私は先んじて宿泊することを伝えているけれど、ジャレッド様の使用する寝室など十分な出迎え準備は整っていないはずだ。

「ああ。それは僕も理解している……とにかく、ここから帰ろう」

 来たばかりだと言うのに、どうしたのかしら。私は不可解な思いを抱きながらも背中を押した彼に従い、会場を後にすることにした。

 火遊び中の不肖の兄ダニエルは、徒歩ででもなんとかして帰って来るはずだわ……多分。


◇◆◇


 別荘は私が今夜泊まることを先触れしていたので、準備は整っていた。けれど、ジャレッド様の姿を見て使用人たちは慌てて準備をしに行ったので、彼の部屋の準備もほどなく整うだろう。

 ジャレッド様は私の使う部屋へ自然に通され、ソファへと腰掛けたので、窮屈な夜会用のドレスから早く着替えたい私はふうと大きく息をついた。

 ……良いわ。ジャレッド様の話とやらが済んだら、すぐに着替えましょう。

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