試してみない?私と一緒に

第12話 圧倒的経済力

翌日。
某大型ショッピングモールに集合した。なんだかんだで初めてのデートだ。いつもは愛が放課後帰りにどちらかの部屋で過ごすのだから。
「んー、遅いなぁ。」
時刻は8時59分。あと1分すれば予定時刻に到達してしまう。そう焦った矢先、道路沿いから駐車場へ1台の黒長い車が入ってきた。見るからに外車。周囲の人達は騒がしく視線を移した。
(絶対あれだ。)
セダンなのかベンツなのか忘れたが、彼女はその長い車の中央から降りてきた。スーツを着た運転手も降りてきて急ぐように彼女の側へ寄る。運転手は『いってらっしゃいませ』と礼をしてから再び乗車して行った。愛は周囲の視線を意に介さないままこちらへ歩いて来る。服装は高そうな黒い革ジャンにジーンズ。意外にもカッコいいファッションであった。逆に私はグレーのパーカー。普段と変わらない格好の自分がどことなく恥ずかしい。それにしても風格だけなら14歳とは思えない。彼女なら芸能界に所属しても活躍しそうだ。
「お待たせ!」
「ぅ、ぅん。」
「ん?何?」
「いゃ、……ぁの。えっと……。」
「な、何?」
「えっと、プリクラ……です、よね。」
気まずい。早くこの場から走って去りたい。
愛はじっと神妙な顔で見つめる。
「……」
「……」
「ぶはっ!もしかしてあーしを見て緊張してる?」
「ぅぇ!?」
「いいのいいの!気にしないで!モールに入れば同じ中学生に見えるから。それに」
首から肩をぐるんと掴まれる。顔が近い。
「恋人だろうと立場は関係ない、でしょ?」
「っ!」
「さ、楽しみましょ!」
それからモールをぐるぐる回った。色んな服屋さんや本屋さん、食堂スペースで軽くミックのポテトも食べた。時間が経つうち、さっきの緊張とやらは消失していた。いつものように他愛もない話をしてゲームセンターへ到着した。
「そーいやグネグネスライムのグッズってUFOキャッチャーにあるかな。」
「どうだろう?流石にないんじゃない?子ども向けアニメだし。」
あった。普通にあった。愛と私は1つのUFOキャッチャーを占領するかのごとく熱中した。
「マイきゅん上手い!たった2回でげっちゅできるんだから。」
「いえいえ。」
「加えてあーしは20回目でげっちゅ。ちぇ、もう小銭もすっからかん。」
すっからかんと言った愛の財布には万札が10枚弱挟まれていた。僅かに見せた隙が経済的地位の高さを示してくる。本人は自覚ないんだろうけど。
「じ、じゃあ、そろそろプリクラ撮って行かない?」
「うむ。目指せ!月の彼方へ!!」
「………かぐや姫?」

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