期間限定カノジョはお断りです!
一ノ瀬の表情が少しだけ真面目になる。

「……ほんとに困ってる」

その顔は反則だった。

いつもの余裕そうな雰囲気じゃなくて、少しだけ弱って見えて。

私は視線を逸らした。

「……ほんとに一か月だけだからね」

「マジ? 助かる」

「あと学校でベタベタしない!」

「了解」

「手とか繋がない!」

「努力する」

「確約して!?」

一ノ瀬は吹き出したみたいに笑う。

「白石、おもしろ」

「誰のせい!?」

その時、予鈴が鳴った。

「あ、やば」

私が慌てて屋上のドアへ向かうと、一ノ瀬が後ろから声をかける。


「あと」

「なに?」

「今日から名前で呼ぶから」

「……は?」

「彼氏っぽいだろ」

嫌な予感がした。

ものすごく。

そしてその予感は、教室に戻った瞬間、最悪な形で的中する。

「紗奈、席そこ」

教室中が静まり返った。

クラスメイト全員の視線が突き刺さる。

私はゆっくり振り返った。



こいつ、わざとだ。

ニヤッと笑うその顔を見た瞬間、紗奈は確信した。


――この一か月、絶対振り回される。
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