いつか何処かで -君と目があったとき-

奇跡の恋の物語

 「律音(りおん)さんが登校を受験しようと思った動機は何ですか?」
 「貴校が行っている相互に意見を述べる学習が自分にあっていると思ったからです。」
  [こんなの嘘だ。]
 そう思いながら私は面接に答えていた。ホントは自分を変えたかった。中学では成績は良かったものの、周りとの折り合いがつかず、やや孤立気味だった。だけどアノ子だけ、私を助けてくれた。
 卒業式の日。アノ子に感謝、いや、告白したかった。君と目があったのに、言えなかった。君にさよならを言うこともできなかった。悔しすぎた。悔しすぎて、いつも聴いていたラジオにメールした。

 「これで面接を終わります。」
 「ありがとうございました。」
 特に問題も起きることなく、面接が終わった。荷物を取り、玄関へ向かった。
  [昨日のアノ子にまた会えるかな......]
 私は少し、心を弾ませていた。
 昨日、受験終わりに後ろを歩いていた君。一目惚れした。一目惚れだと目元が笑うというけれど、本当に笑顔になった。君と目があったとき、彼は驚いた表情をしていた。

 いろいろ思い出しながら玄関につく。
  [今日は誰かが泣いているような雨の日だ。]
 私は、詩人のようなことを思いながら傘をさして歩き出す。歩き出してすぐ、後ろに気配を感じた。意を決して振り向くと、昨日のアノ子と目があった。二人は お互いを見つめてる。そして、笑みがこぼれる。
  [最高の魔法って意外と軽い。]
 私はそう思ってしまった。


 「律音、早く夕飯食べなさい」
 私が2日間の出会いを思い出してボケていると、お母さんから喝が入った。再び夕飯を口に運ぶ。
 「それではお聴きください。純烈の皆さんで『奇跡の恋の物語』です。どうぞ!」
 たまたま見ていた歌番組の司会の曲振りが何故だか大きく聞こえた。
  [私にも恋の物語が始まって欲しい。]
 そう思ってしまった。


 数日後、合格発表があり、私は無事に合格した。2日連続で会ったアノ子が合格したかなんて知るよしもなかった。



〈登場楽曲〉
純烈『奇跡の恋の物語(2024年)』(詞:藤井フミヤ 曲:藤井尚之 編曲:大島賢治)
桑田佳祐『君にサヨナラを(2011年)』(詞・曲・編曲:桑田佳祐 弦編曲:佐橋佳幸)
中村美律子『人生一度(2010年)』(詞:たかたかし 曲:岡千秋 編曲:南郷達也)
米米CLUB『君がいるだけで(1992年)』(詞・曲:米米CLUB 編曲:米米クラブ・中村哲)
< 3 / 3 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop