いつか何処かで -君と目があったとき-

ドラマティック・レイン

 「これで1日目の受験日程を終わります。」
 無事に1日目の受験を終え、帰りの支度をして、生徒玄関を出た。多くの受験生たちは、親が迎えに来ているが、俺はバスに乗るため、バスストップへと歩く。外は雨が降っており、リュックから折りたたみ傘を出す。
  [意外と歩いてないんだなぁ]
 正門を出て、前に女子生徒が一人歩いていただけだ。グラウンドの脇に来たとき、前を歩いていた女子生徒がこちらを向いた。君と目があったとき、君は微笑み、俺は今まで感じたことのない不思議な感覚に陥った。
  [律希(りつき)はこのとき、ドラマが始まることをまだ知るよしもなかった。]
 俺は、ドラマでありがちな口上を考えてしまった。そんなことを思っていたら、目の前から女子生徒がいなくなっていた。


 翌日は、受験2日目。受験した高校では、面接試験が毎年あったため、2日目があった。
 「ご自身の面接試験終了後、本日の日程は終了です。廊下の表示にしたがって生徒玄関からお帰り下さい。」
 試験官からの説明を終え、自分の面接時間まで待った。待機室にいる受験生の半分ぐらいが終わり、自分の面接となった。

 無事に面接を終え、生徒玄関を出た。今日も雨が降っていた。昨日のようにバスストップを目指し歩き始めた。そして、見覚えのある傘とリュックを背負う女子生徒が前を歩いていた。そして、グラウンドの脇に来たとき、前を歩いていた女子生徒がこちらを向いた。君と目があったとき、俺の頭には小田和正の『ラブ・ストーリーは突然に』のイントロが流れた。そう。昨日の女子生徒だったからだ。
 帰る時間は人それぞれという日なのに、2日連続で会った。君と目があったとき、君は微笑み、俺は昨日と同じ不思議な感覚に陥った。
  [律希はこのとき、ドラマが始まることをまだ知るよしもなかった。]
 俺は、もう一度そう考えてしまったが、今回は本当にドラマが始まるように思えた。


 数日後、合格発表があり、俺は無事に合格した。2日連続で会ったアノ子が合格したかなんて知るよしもなかった。



〈登場楽曲〉
稲垣潤一『ドラマチック・レイン(1982年)』(詞:秋元康、曲:筒美京平、編曲:船山基紀)
平浩二『バス・ストップ(1972年)』(詞:千家和也、曲:葵まさひこ)
小田和正『ラブ・ストーリーは突然に(1991年)』(詞・曲・編曲:小田和正)
竹内まりや『もう一度(1984年)』(詞・曲:竹内まりや、編曲:山下達郎)
エレファントラブ『合格(1996年)』(詞・曲・編曲:エレファントラブ)
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