トップアイドルは白衣の天使に恋をする-second-
「指導医師、指導看護師の皆さん」

高城先生が静かに言った。

「少し集まってください」

その声で、指導者たちの空気が変わる。

私たちはそのまま別の会議室へ移動した。

会議室へ入る。

静かだった。

さっきまでのシミュレーション室とは全然違う。

現場の熱が抜けた代わりに、“責任”だけが残っている空気。

高城先生が席へ座る。

その横には資料。

フライトスケジュール。搭乗表。症例想定。

全部揃っていた。

そして高城先生がゆっくり口を開く。

「——ついに来週から、現場フライトが始まります」

シミュレーションとは違う本物。

実際の救急現場、実際の患者、実際の命。

それを全員理解していた。

「育成メンバーは、段階的に現場へ同行させます」

「もちろん最初は見学中心」

「ただし」

高城先生の目が鋭くなる。

「現場は、シミュレーションみたいに止められません」

誰も喋らない。

「危険と判断した場合は即外す」

「そこは徹底してください」

静かな声。

でも絶対だった。

そして高城先生が、私たちを見渡す。

「……皆さん、育成メンバーどう見ていますか」

その言葉をきっかけに。

空気が“討論”へ変わった。

最初に口を開いたのは西国先生だった。

「桐谷は知識量は十分です。ただ、まだ処置中に視野が狭くなる」

「そして考え込む癖があります。でも逆に言えば慎重さは武器になるタイプ」

そして続ける。

「桐谷はフライト開始しても大丈夫だと判断します」

メモを取りながら、高城先生が静かに聞いている。

次。

「真壁くんは現場向きですねぇ」

神波さんが椅子へもたれながら言う。

「焦っても声出せる。あと、人を頼れる」

「ただ、感情引っ張られやすいから多分家族対応でメンタル削られるタイプです」

「あー、分かる」

森崎さんが苦笑いする。

“出来るかどうか”だけじゃない。

“現場で折れないか”も見られてる。

「でもまあ、フライト開始は問題ないでしょう」

そう言った。

次々に育成ナースと育成ドクター達の評価に入る。

「…まだ現場は早いと判断します」

もちろん、そんな人もいる訳で。

みんながみんな仲良くフライト開始できるわけではない。
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