トップアイドルは白衣の天使に恋をする-second-
「結局何の映画の話だったんだろ」

私が小さく笑うと。

後ろから抱きしめたままの陽貴くんが、肩へ顔を埋める。

「知らない」

「見てなかったもん」

その声が近くて、胸がくすぐったくなる。

私は少しだけ身体を預けた。

すると陽貴くんの腕が、ぎゅっと強くなる。

「本当に会いたかった」

ぽつりと落ちた声。

その一言だけで。

どれだけ会いたかったのか伝わってくる。

私はゆっくり振り返った。

近い距離で目が合う。

少し疲れた目。

でも優しくて、甘くて。

どうしようもなく好きな顔。

陽貴くんの指先が、そっと私の頬へ触れる。

「紗凪」

名前を呼ばれる。

それだけで心臓が跳ねた。

優しく唇が重なる。

触れるだけのキス。

離れていた時間を埋めるみたいに、何度も繰り返される。

「……好き」

キスの合間に落ちる声。

その度に胸が熱くなる。

私は小さく陽貴くんの服を掴んだ。

すると陽貴くんが少しだけ困ったみたいに笑う。

「それ以上可愛くしないで…理性なくなる」

そんなこと言いながらも。

触れる手はどこまでも優しかった。

大事にするみたいに。壊さないように。

何度も抱きしめてくれる。

ベッドへ移動してからも。

陽貴くんはずっと優しかった。

「寒くない?」

「苦しくない?」

そんな風に、何度も確認してくる。

私は思わず笑ってしまった。

「心配しすぎ」

「だって久しぶりだから」

真剣な声。

その顔を見た瞬間。

また胸がいっぱいになる。

離れていた時間。

会えなかった寂しさ。

電話越しじゃ埋められなかった想い。

全部。

触れ合うたびに溶けていく気がした。

陽貴くんの手が髪を撫でる。

額へキスが落ちる。

抱きしめられる度に、“愛されてる”って分かる。

言葉だけじゃなく。

触れ方全部が優しいから。

「……紗凪」

少し掠れた声。

私はその胸へ顔を埋めた。

「ん……?」

「愛してる」

何回聞いても。

その言葉だけで泣きそうになる。

私は小さく笑って。

陽貴くんへ抱きついた。

「私も……愛してるよ」

その瞬間。

また強く抱きしめられる。

まるで離したくないみたいに。

窓の外では、大阪の夜景が静かに光っていた。

その夜、私の世界は陽貴くんだけでいっぱいだった。
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