トップアイドルは白衣の天使に恋をする-second-
結局その夜。

私たちは、何度も何度もお互いを求め合った。

離れていた時間を埋めるみたいに。

好きだと確かめ合うみたいに。

陽貴くんはずっと優しくて。

でも時々、苦しいくらい愛おしそうな顔で私を見るから。

その度に胸がいっぱいになった。

「……紗凪」

名前を呼ばれる。

抱きしめられる。

キスをされる。

それだけで、こんなにも幸せになれるんだと思った。

気づけば、外は少しずつ明るくなっていた。

カーテンの隙間から朝日が差し込む。

私はぼんやり目を開けた。

隣には、陽貴くん。

私を抱きしめたまま眠っている。

長い睫毛。

整った顔。

寝顔なんて何度も見てるのに、やっぱり見惚れてしまう。

すると。

「……見すぎ」

突然、掠れた声。

「っ、起きてたの?」

「うん」

少し眠そうに笑う。

私は恥ずかしくなって、陽貴くんの胸へ顔を埋めた。

すると頭の上から、小さく笑う声。

「今日仕事だよね」

「うん……」

現実。

一気に思い出す。

私は仕事。

陽貴くんは大阪でイベント。

せっかく会えたのに、またすぐ別々。

そう思った瞬間。

胸がきゅっと寂しくなる。

たぶんそれが顔に出ていたんだと思う。

陽貴くんが、そっと私の髪を撫でた。

「そんな顔しないで」

優しく笑われる。

「でも今日、大阪にいるんだよ?」

「うん」

「それだけでちょっと嬉しい」

その言葉に、私は少しだけ笑った。

確かに。同じ街にいる。

それだけでも、前より近い気がした。

そのあと二人で簡単に朝ご飯を食べて。

私は仕事の準備をして。

陽貴くんも帽子とマスクで変装しながら出発準備をする。

玄関。

また、離れる時間。

たった一日なのに、少し寂しい。

すると陽貴くんが靴を履いたまま、ふっと私を見る。

「紗凪」

「ん?」

「今日も頑張って」

その声が優しくて。

私は小さく頷いた。

「陽貴くんも」

すると。

陽貴くんが突然、ぎゅっと抱きしめてくる。

「っ……」

「充電」

耳元で小さく呟かれて、思わず笑ってしまう。

「足りる?」

「全然足りない」

子供みたいに言うから。

私はくすくす笑った。

「無理しないでね」

「紗凪のためなら無理じゃない」

真顔。

本当にずるい。

私は少し背伸びをして。

陽貴くんの頬へ軽くキスをした。

その瞬間。

陽貴くんが目を丸くする。

「……朝からそれする?」

「お返し」

そう言うと。

陽貴くんが困ったみたいに笑った。

「今日イベント中ずっと思い出す」

そんなことを言いながら。

最後にもう一度、優しく抱きしめられる。

「行ってきます」

「……いってらっしゃい」

優しくキスを落とす。

ドアが閉まり静かになる部屋。

さっきまでの温もりだけが残っていた。

胸元のネックレスへ触れる。

不思議と寂しいだけじゃなかった。

また頑張れる。

そう思えた朝だった。
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