トップアイドルは白衣の天使に恋をする-second-
ソファへ移動してもほぼ密着状態。

「……近い」

「今日の紗凪不足かなり深刻だから」

真顔で言われる。

思わず笑ってしまった。

すると陽貴くんが、その笑った顔をじっと見つめてくる。

「なに」

「いや、やっと笑ったなって」

その声が優しい。

私は少し視線を落とした。

「病院いるとさ……やっぱ気張っちゃうから」

フライトの日は特に。

一瞬で状況判断して、患者の命を繋いで。

絶対にミスできない世界。

だから気づかないうちに、ずっと力が入っている。

でも陽貴くんの前だと、不思議なくらい力が抜ける。

「紗凪」

「ん?」

陽貴くんが私の髪を指先で軽く触りながら、小さく息を吐いた。

「紗凪がここいるだけで落ち着く」

「そんな大げさな」

「大げさじゃない」

真っ直ぐな声。

そのまま肩へ頭を預けられる。

ステージの上ではあんなにキラキラしてるのに。

今の陽貴くんは甘えん坊で。

それが少し可愛いと思ってしまったり。

「今日泊まる?」

「……帰す気ある?」

聞くと、陽貴くんがにやっと笑う。

「ない」

…ですよね

「明日朝早いんじゃなかった?」

「うん」

「じゃあ寝ないと」

「でも紗凪といる方が大事」

そう言いながら、またぎゅっと抱きしめられる。

「ほんと愛が重い……」

「知ってる」

楽しそうに笑う声。

でもその腕はすごく優しい。

私はそっと陽貴くんの胸元へ額を預けた。

規則的な鼓動が聞こえる。

落ち着く。

「陽貴くん」

「んー?」

「……会えてよかった」

小さくそう言うと。

陽貴くんがぴたりと動きを止めた。

そして。

「それ、俺のセリフ」

掠れた声でそう返される。

次の瞬間。額へ、そっとキスが落ちた。

優しくて。

大切にされてるって伝わってくるキス。

この日は陽貴くんの温もりに包まれながら眠りについた。
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