トップアイドルは白衣の天使に恋をする-second-
「でも、もし行けてたら絶対行きたかったなぁ……」

ぽつりと零れる本音。

その言葉に、胸が少しざわつく。

そんなにすごい話なんだ。

改めて実感する。

「一ノ瀬さんに声かかるの、めちゃくちゃ納得ですけどね」

林くんがさらっと言う。

「え?」

「いや普通に」

きょとんとした顔で返される。

「フライト件数もですけど、一ノ瀬さん現場対応力えぐいじゃないですか」

「えぐい…?」

「褒めてます!」

林くんが笑う。

「フライトでもICUでも動き方レベチですし、医師からの信頼も厚いし」

そんな風に言われると、逆に落ち着かない。

「それに」

林くんが少し真面目な顔になる。

「一ノ瀬さんって、ちゃんと患者さん見てるんですよね」

「……」

「技術だけじゃなくて」

その言葉に、一瞬だけ言葉を失う。

「だから選ばれたんじゃないですか」

真っ直ぐな声だった。

私は無意識に、手元の資料へ視線を落とす。

看護師としては、大きなチャンス。

きっと、この先のキャリアにも繋がる。

でも頭の中に浮かぶのは、やっぱり陽貴くんの顔だった。

そんな私を見て、林くんが少し首を傾げる。

「……あれ?」

「ん?」

「なんか嬉しそうじゃないですね」

図星だった。

「普通こんなん声かかったらテンション爆上がり案件なのに」

「……まぁ、色々あるの」

そう曖昧に返すと、林くんが何か察したみたいに「あー……」と声を漏らした。

「陽貴さんですか?」

「っ」

思わずむせそうになる。

「分かりやすいっすね」

「うるさい」

即答すると、林くんが楽しそうに笑った。

「でも、一ノ瀬さんそういう顔するんだなぁ」

「どういう顔」

「恋してる顔」

その瞬間。

心臓が変に跳ねた。

「……ほんと仕事戻って」

「はーい」

林くんは笑いながら去っていく。

でも。去り際、ふと真面目な声で言った。

「俺は一ノ瀬さんなら絶対向いてると思いますよ」

その言葉だけが、静かに胸へ残った。
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