トップアイドルは白衣の天使に恋をする-second-
「で?」

優しく頭を撫でながら聞かれる。

「何があったの」

私は少し迷ってから、バッグから資料を取り出した。

その瞬間。

陽貴くんがタイトルを見て、少し眉を寄せる。

「……大阪?」

私は静かに頷いた。

「大阪の病院から、話が来てて……」

そこから、私は全部話した。

フライトナース育成支援プロジェクト。

指導者として来てほしいこと。

期間は半年。

大阪勤務になること。

話し終わる頃には、胸が苦しかった。

陽貴くんは黙ったまま資料を見ている。

その横顔が読めなくて、不安になる。

「……急にごめん」

思わずそう言うと。

陽貴くんがふっと顔を上げた。

「なんで謝るの」

静かな声。

そしてそのまま、また私を抱き寄せる。

「そりゃびっくりしたけど」

「でも紗凪、ずっと一人で抱えてたんでしょ」

その言葉に、胸がじわっと熱くなる。

私は陽貴くんの肩へ額を押しつけた。

「……どうしたらいいか分かんなくて」

本音が零れる。

陽貴くんが静かに資料を閉じた。

そして、そのまま私を見る。

「紗凪は」

低い声。

「行きたいの?」

真っ直ぐ聞かれて、息が詰まる。

私は少し視線を落とした。

「……分かんない」

正直な気持ちだった。

「行きたい気持ちはある」

「でも怖い」

「離れるのも……色々変わるのも」

そこまで言った瞬間。

ふわっと身体が引き寄せられた。

「陽貴くん……?」

気づけば、また抱きしめられていた。

優しく。

包み込むみたいに。

「そっか」

落ちてきた声は、思っていたよりずっと穏やかだった。

「1人で悩ませてごめんね」

その言葉だけで。

胸の奥が少し熱くなる。

私は陽貴くんの服をぎゅっと掴んだ。

すると頭の上から、小さく笑う気配。

「……正直、めちゃくちゃ寂しい」

「っ……」

「半年とか普通に嫌」

あまりにも素直な言葉に、胸がぎゅっとなる。

陽貴くんはそのまま続けた。

「でもさ」

少しだけ身体を離して、私を見る。

その目はすごく優しかった。

「それ、紗凪が頑張ってきたから来た話なんでしょ?」

林くんや梓に言われた言葉と同じだった。

「だったら俺はちゃんと応援したい」

その瞬間。

胸の奥が、痛いくらい熱くなった。
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