トップアイドルは白衣の天使に恋をする-second-
その後。

少しだけ落ち着いてから、私たちは遅めのお昼ご飯を食べに出かけることになった。

「何食べたい?」

玄関で靴を履きながら陽貴くんに聞かれる。

私は少し考えてから、小さく笑った。

「……なんでもいい」

すると陽貴くんが、呆れたみたいに笑う。

「それ一番困るやつ」

「だって、陽貴くんと食べれるならなんでもいい」

本音だった。

コンビニでも。

ファミレスでも。

高級店でも。

今なら、隣に陽貴くんがいるだけで特別に感じる気がした。

その瞬間。

陽貴くんがぴたりと止まる。

「……紗凪」

「ん?」

「今日ほんと甘い」

「……半年分だから」

そう返すと。

陽貴くんが、たまらなそうに笑った。

「かわいすぎる」

そして。

マンションを出た瞬間、自然みたいに手を繋がれる。

指を絡める恋人繋ぎ。

その感覚すら久しぶりで。

私は少しだけ照れながら、でも嬉しくて握り返した。

東京の街は相変わらず人が多い。

隣を歩く陽貴くんは帽子とマスク、サングラスまでつけて完全変装。

それでも歩きながら何回も私を見るから、逆に目立つ気がする。

「……そんな見る?」

私が笑うと。

陽貴くんが当たり前みたいに言う。

「だって紗凪いる」

「意味わかんない」

「半年会ってないんだよ?」

私は吹き出してしまう。

そんな他愛ない会話が、幸せだった。

結局私たちは少し落ち着いたカフェレストランへ入った。

半個室のお店。

向かい合って座る。

それだけで、なんだか照れる。

メニューを見ながら。

陽貴くんがふっと笑う。

「こういうの久しぶり」

「……うん」

普通のデート。

普通にランチして。

普通に話して。

そんな当たり前が、私たちにはなかなか難しかった。

私は窓の外を見ながら、小さく呟く。

「なんか不思議」

「なにが?」

「ちゃんとデートしてる」

その瞬間。

陽貴くんが優しく笑った。

「これからいっぱいするよ」

その言葉に、胸が温かくなる。

店員さんが注文を取りに来る。

陽貴くんは私が悩んでるのを見て、

「紗凪また絶対悩むじゃん」

って笑いながら、自然におすすめを選んでくれる。

その感じも懐かしくて。

私はなんだか嬉しくなった。
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