トップアイドルは白衣の天使に恋をする-second-
テーブルには、色とりどりのスイーツが並んでいた。

苺のショートケーキ。

小さなティラミス。

焼きたてワッフル。

チョコフォンデュまである。

「やば……天国」

梓が目を輝かせながらケーキを取っていく。

私はその姿を見て思わず笑った。

「相変わらずテンション高い」

「だって糖分は命」

「看護師とは思えない発言」

「ER勤務だからこそ糖分必要なのよ」

そんなことを言いながら、私たちは久しぶりにゆっくり話をした。

大阪でのこと。

育成支援プロジェクトのこと。

事故のこと。

東京中央大学病院の最近の様子。

梓は「えぇ!?」とか「やば……」とか、ころころ表情を変えながら聞いてくれる。

「でもほんとすごいね」

梓が紅茶を飲みながら言った。

「フライトナース認定指導者とか」

「院内初って普通にすごいよ」

「……まだ実感ない」

「いやいや、もっと自信持ちなさいって」

そう言いながら、梓がフォークを向けてくる。

「大阪行く前の紗凪より、絶対今の方が強い」

その言葉に。

私は少しだけ目を伏せた。

「……強くなれたかな」

「なってるよ」

まっすぐ目を見てそう言ってくれた。

「ま、何はともあれ陽貴さんと仲良くしてるならそれが1番ね」

「…うん」

私は少し照れたみたいに笑う。

梓が何気ない声で言う。

「まぁ私も人のこと言えないんだけど」

「……?」

私はフォークを止める。

梓は普通にミルクティーを飲みながら続けた。

「付き合ったの」

「——ゴホッ!!」

盛大にむせた。

「ちょっ……!」

私は慌てて口元を押さえる。

梓はケロッとしていた。

「なにその反応?」

「いやいやいやいや待って!?」

「ん?」

「え!?誰と!?」

すると。

梓が“当たり前じゃん”みたいな顔で言った。

「優朔さん」

「…………」

数秒、固まる。

私はぱちぱち瞬きをした。

「……え?」

「だから優朔さん」

「え、付き合ったの!?」

「うん」

さらっ。

あまりにも普通に言うから、余計衝撃だった。

私は思わずテーブルへ身を乗り出す。

「いつ!?」

「紗凪が大阪いる時」

「なんでそんな大事なことサラッと言うの!?」

「タイミングなかったし」

「いやあるでしょ絶対!!」

梓がケラケラ笑う。

「そんな驚く?」

「驚くよ!!」

だって。

あの梓が。

恋愛にあんまり興味なさそうだった梓が。

しかも相手、優朔さん。

私はまだ信じられない気持ちで梓を見る。

すると。

梓が少し照れたみたいに笑った。

「……まぁ、でも」

「ちゃんと好きだなって思った」

その顔が、あまりにも柔らかくて。

私は一瞬ぽかんとする。

……うわ。

梓、ほんとに恋してる。

そう思った瞬間。

なんだか急に嬉しくなった。

私は思わず笑ってしまう。

「なに」

「いや……なんか嬉しい」

「なんで」

「だって梓がそんな顔するんだもん」

「は?」

「私初めて見たかも梓のそんな幸せそうな顔」

その瞬間。

梓の顔が一気に赤くなる。

「……っ紗凪!!」

「え、図星?」

「うるさい!」

珍しく動揺してる。

私は思わず吹き出した。

すると。

梓が悔しそうに私を見る。

「……そっちだって佐野陽貴とラブラブなくせに」

「っ」

今度は私が詰まる番だった。

数秒後。

二人同時に顔を見合わせて。

「「……やば」」

そのまま、声を上げて笑った。
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