トップアイドルは白衣の天使に恋をする-second-
俺はソファへ深く沈み込みながら頭を抱えた。

「……大阪行く」

「え?」

「半年」

その瞬間。

3人の空気が少し変わる。

「仕事?」

優朔が真面目な声で聞く。

「うん。フライトナースの育成支援プロジェクトの指導者になるらしい」

「へぇ……」

奏が少し目を見開く。

「それかなりすごいやつじゃないですか?」

「らしい」

「いや、“らしい”じゃないですよ」

奏が苦笑する。

「救命界隈だと結構有名です」

さすが医療ドラマ経験者。

変な知識ついてる。

「まぁ一ノ瀬さんが選ばれるの納得ですけどね」

優朔も静かに頷いた。

「一ノ瀬さん、ほんとすごい人だし」

その言葉に、胸が少し誇らしくなる。

……そうなんだよ。

紗凪はすごい。

誰より頑張ってる。

だからこそ応援したい。

でも。

「いやでも半年だよ?」

思わず本音が漏れる。

「普通に無理なんだけど」

「会えないとか耐えられない」

すると蒼依が爆笑した。

「陽貴さん重っっ」

「うるさい」

「いや想像以上だった」

奏まで笑ってる。

優朔だけが少し優しい顔をした。

「でも、応援したんでしょ?」

「……した」

「陽貴さんらしいですね」

奏がふっと笑う。

「ほんとは寂しいのに、ちゃんと一ノ瀬さん優先するの」

その言葉に、俺は小さく息を吐いた。

「だって」

自然と声が落ちる。

「紗凪の夢、邪魔したくないし」

「……それに」

頭の中に浮かぶ。

フライト中の紗凪。

必死に命を繋ごうとしてる姿。

患者へ声をかける優しい顔。

強くて、真っ直ぐで。

誰かのために全力になれる人。

「俺、ああいう紗凪も大好きだから」

ぽろっと零れた本音。

すると。

一瞬、部屋が静かになった。

「……陽貴さん」

奏が引いた顔をする。

「それ本人に言いました?」

「言ったけど」

「うわぁ」

蒼依が肩を抱える。

「甘すぎて胸焼けする」

「ほんと少女漫画みたいな恋愛してるね」

優朔まで笑ってる。

「うるさいな」

そう返しながらも。

気づけば少しだけ肩の力が抜けていた。

寂しい。

本音を言えば、今すぐ抱きしめたい。

ずっと隣にいてほしい。

でも。

紗凪が夢に向かって頑張るなら。

俺も、自分の場所で頑張ろうと思う。

——離れてても、支えられる男でいたいから。
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