トップアイドルは白衣の天使に恋をする-second-
私はそのまま病院近くのスーパーへ向かった。

カゴを持ちながら店内を歩く。

何を作ろうかなぁ。

陽貴くん、最近ちゃんとご飯食べれてるかな。

そんなことを考えながら、自然と手が伸びる。

陽貴くんが好きな生姜焼き用のお肉。

サラダ。

お味噌汁の材料。

あと疲れてる時でも食べやすいように卵豆腐も。

気づけば、完全に“彼女”みたいな買い物をしていて。

……いや、彼女なんだけど。

なんだか少し照れくさくなる。

レジを済ませてそのまま陽貴くんのマンションへ向かった。

エントランスを抜けてエレベーターへ乗る。

慣れてきたはずなのに、やっぱり少し緊張する。

陽貴くんの家。

初めて来た時は、心臓止まりそうなくらい緊張してたな。

そんなことを思いながら、合鍵を取り出す。

カチャ。

静かな音と共にドアが開いた。

「……お邪魔します」

誰もいない部屋へ小さく呟く。

相変わらず綺麗な部屋。

落ち着く甘い匂い。

私は買ってきた袋をキッチンへ置いた。

そして、そのままエプロンをつける。

トントン、と野菜を切る音。

フライパンから漂う香り。

忙しい毎日の中で“普通”を感じられる時間が心を落ち着かせる。

陽貴くんと出会う前は、こんな未来想像してなかったな。

ふとそんなことを思う。

料理を作り終える頃には、時計はもう21時前。

私は次に、お風呂のお湯を溜め始めた。

疲れて帰ってくるだろうから、少しでもゆっくりしてほしい。

湯気が立ち上る浴室を見ながら、小さく息を吐く。

それからソファへ座った。

部屋は静かだった。

でも、不思議と寂しくない。

ここにはちゃんと陽貴くんの存在があるから。

テーブルの上には、さっき作ったご飯。

キッチンには並んだ食器。

お風呂の準備も終わってる。

まるで新婚みたい。

そう思った瞬間、自分で勝手に照れてしまった。

「……何考えてるんだろ」

小さく呟きながら、クッションを抱きしめる。

すると。

ふわっと、陽貴くんの香水の匂いがした。

その瞬間。

急に会いたくなる。

早く帰ってこないかな。

ちゃんと直接、話したい。

大阪のこと。

寂しいってこと。

それでも頑張りたいって思ってること。

全部。

そう考えていた時。

——ガチャ。

玄関のドアが開く音がした。
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