月下ノ姫
夜叉総長は小さく笑う

だけど今回は、 どこか苦しそうだった

夜叉総長「じゃあな、白月」

夜叉は去っていく

静かな夜だけが残った

海未は、 まだ伊織の服を握ったまま

伊織「……海未」

海未「ごめん……」

伊織「だから違う」

伊織は痛みに顔を歪めながらも、 海未の頭へ触れた

優しく

壊れ物みたいに

伊織「お前が無事なら、それでいい」

海未の呼吸が止まる

どうして

どうしてそんなこと言えるの

海未は、 愛されることに慣れていない

だから

こんな風に大切にされると、 胸が苦しくなる

海未「……分かんない」

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