婚約者のベッドに知らない女が寝ていたので、親友になって婚約者に復讐します。

第17話 パジャマパーティー

 「アリシア様、私こんなに愉快なのは久々です!生まれて初めてかも」
眦の涙を拭いながらミアは笑顔で言うが、それが心から嬉しいのではないことをアリシアは知っている。

 レイナルドが紹介してくれた高級娼館のマダム・ロザリンドは非常に懐の深い人だった。
 アリシアたちの話を聞くと、すぐに肯定はしなかったものの前向きに検討すると言ってくれた。
 そしてここは商売上、良いお風呂があるから、せっかくなので入ると良いとミアに勧めた。

 ミアは風呂から上がると目が赤かった。

 アリシアもミアも帰りたい家ではないので、ロザリンドに泊まって行くかと聞かれて、その言葉に素直に甘えることにした。

 そのためここは娼館の宿泊室の一つだ。最も客室ではなく、清掃などの業務に従事する従業員が寝起きする方の部屋で、当然一人一部屋など夢のまた夢。

 他の洗濯女などの職務に就いている女性も大勢いる。

部屋は大爆笑だった。
日頃威張り散らして品のない遊びをしているボンボンが、あわあわと窮している様は全員をスカッとさせた。

「何だいあれは。文字が読めないアタイだって分かるわ、冬じゃなきゃ熊が出るだろう、あそこは」
「他の話だって酷かったわ、相手の商人を平民扱いしていたが、ありゃあ下手な貴族より地位のある方だろう?うちに薬を売りに来るマゴットが言ってた……」
「そうそう、今の隣国じゃあああいった商人の方が力持ってるってね。こないだの災害復興の際に、利益度外視で大層尽力したそうじゃないか」
「学がないオレらより物を知らねえであんなに威張れる面の皮の厚さだきゃあ凄いわ」

 高級娼館の従業員は平民と言えど一定の水準を保っている。寝巻き姿でワイワイと騒ぐことでミアは楽しそうだ。

恐らく一緒にダメ男を肴にすることで少しは気が紛れているのだろう。
そうであればアリシアも嬉しい。

それはきっとマダム・ロザリンドの狙いの一つだ。
他にもきっと従業員たちがこの喜劇のような商談について噂することまで目的に含まれている。

同時に、親に勘当されても平民としてやって行くと言っているアリシアの覚悟も見ているのだ。
平民と合同の雑魚寝や、貴族では見慣れない習慣に耐えられるかどうか。

 当たり前だ。アリシアは思う。
ミアが言うように、アリシアにとっても今日より楽しかった日はない。

待っててね、ミア。
必ずあのクソ野郎を叩きのめしてあげる。
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