好きになった人は、みんなのアイドルで 3

54話 隣にいて

ーー悠太郎サイド

「ごめん、聞いてくれてありがとう」

初めて自分の気持ち、全部話せた。
……今まで、誰にも、言えなかった。

「ううん、話してくれてありがとう」
紬ちゃんの手が温かい。

「俺、もう何も無くて」
「こんな、かっこ悪くて」
「……紬ちゃんとは、釣り合わない」

でも、一緒にいたい。
だから、別れてください。

続く言葉はどっちであるべきか、一瞬迷った。

抱き締めていた手を離す。
「だから……」

「別れないよ」
遮られた。
「絶対、別れないよ」
「悠太郎くんが、私のこと嫌いになるまで、別れない」

真っ直ぐな眼差しと声だった。

「でも、俺……」

「何も無いなんて、思ってないよ」
「悠太郎くんは、悠太郎くん」
「そのままで、私の大好きな人」

俯いてた顔を持ち上げられて、キスをされる。
涙が混じってしょっぱい。

「……今日の紬ちゃん、どうしたの」

「大好きなの」
「隣にいたいの」
「……どんな時でも。どんな、悠太郎くんでも」
「私じゃ、だめかな」

紬ちゃんの声が震えている。

「……だめなわけないじゃん」
だめなわけがなかった。だめなのは、俺で。

「じゃあ、一緒にいてよ」
「一緒に乗り越えさせてよ」

頷いた。頷くしかなかった。
本当は、紬ちゃんに隣にいてほしかった。

「ごめん、紬ちゃん。好き」

もう一度抱き締めると、
「ごめんは禁止」とキスで口を塞がれた。

「ごめん、もう言わない」と答えて
「あ、また言った」とまたキスをされた。

顔を見合わせて笑って、またちょっと泣いた。

「俺の隣にいてください」
「もちろん」
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