好きになった人は、みんなのアイドルで 3

55話 眩しい

ーー悠太郎サイド

「……ティッシュ、ちょうだい」
鼻を啜る紬ちゃん。

「入って」
部屋に入れてティッシュを渡す。

鼻をかみ終わると
「急に来て、ごめんね」と笑う。

「ううん、来てくれなかったら、一生話せなかったかも」
「だからほんとにありがと」
「でも、紬ちゃんが兵庫まで来るとは思わなかった」

「私だって思わなかったよ」
「蓮くんのお母さんが見かけたかもって蓮くんから聞いて、それで大学飛び出してきたの」

「俺のためなら、なんでもしてくれるね」
泣き疲れて汗ばんだ前髪をかきあげておでこにキスをする。

「なんでもするよ」
「……当たり前じゃん」
笑う紬ちゃんが、眩しかった。

その眩しさが、俺を照らしてくれるみたいで。
また光に向かって進んで行けるかもしれないと思った。

「悠太郎くん、おかえり」

「うん、ただいま」

やっと言えた。
紬ちゃんに、ただいまってずっと言いたかった。

「大好きだよ」と紬ちゃんが飛び込んでくる。

紬ちゃんと一緒なら、また明るい場所へ戻れる。
真っ暗闇だった俺の世界に色を取り戻してくれたのは、やっぱり紬ちゃんだった。
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