君の言葉で夢を見たい
………



夕方に日本の空港に着いた後は自由時間だった。

夜にはスタッフも含めた全員で食事をする予定が入っているけれど、本格的なスケジュールは明日から。

……となると案の定、僕以外のメンバーは貴重な自由時間で東京観光の予定を立てていた。


飛行機で隣の席に座ったメンバーが、SNSに保存していた東京のカフェ特集のポストを見せてくる。


「この日本語、なんて書いてある?」


肩を小突かれて、仕方なくイヤホンを外してスマホを覗き込んだ。

そしてカラフルな絵文字で囲まれた日本語を、韓国語に置き換えて読み上げる。

「『デートにおすすめの夜景が見えるカフェ』」

「……それだけ?」

「うん」

「なぁんだデート用かよ。男同士で行く場所じゃねーな。ナシナシ!」


と彼は鼻を鳴らした。


「あ、お前も来いよ。日本語要員で」

「やだよ」

「じゃあ何のために勉強したんだよ。俺らのためじゃねーの?」


本気か冗談かわからない表情で彼が笑う。


「……だいたい、お前のために勉強したんじゃねーよ」

「ケチだな〜。出し惜しみするなよ、使えば使うほど上手くなるって言うじゃん?」

「じゃあお前が勉強して使いまくれよ」

「……。」


それは違うらしい。


「そ、そもそもホテルに早く行っても暇じゃん。せっかくのオフなのにさ」


そんなふうに言われても、僕の気持ちは一ミリも傾かなかった。


「……早くホテルでゆっくりしたいんだよ」


そんな嘘でも本当でもない言葉を小さく呟いて窓の外に視線を向けた。


高度を落とした機体の窓の外には、太陽の光をキラキラと反射させる海面が広がっている。

その向こうに東京の街が小さく見えた。

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