君の言葉で夢を見たい


……あ、名前、聞き忘れた。



日本語のレッスン中に彼女の名前を知らないと気づいたときみたいに、記憶の中にある彼女の夏服の胸元にあった名札を思い出そうとする。

だけどやっぱり、思い出せない。


それなのに不思議と僕の唇は弧を描いた。



外の喧騒から切り離された30階にあるこの客室は、半年前と変わらず静かだった。

天井に埋め込まれたエアコンの音と、加湿器の小さな稼働音だけが控えめに鳴っている。

そんな清潔なベッドの上で、いつもより速い自分の心音にしばらく耳を傾けていた。



そのまどろみの中でふと半年前にこのベッドの上で見た夢を思い出した。



夢の中でも彼女の言葉を理解できなかった、あの、もどかしい記憶。



だけど今は、少しだけその続きを見られる気がする。

君の声も、君の言葉も、夢の中でならもっと近くで聞けるかもしれない。


夢の中まで君の言葉で満たされるくらい、日本語に溺れてしまえたら――。

そのときは、一度解体してしまった君への言葉を今度こそ伝えられる気がした。





――その前にまずは「名前はなんですか」から。




너의 말로 꿈꾸고 싶어  ― 끝 ― 
君の言葉で夢を見たい ― 終 ―
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