ひとりが嫌で、今日も笑う。

迅が静かに言った。

迅「泣けない、の間違いでしょう」


私は息を止めた。

航斗が迅を睨む。


航「迅」

迅「失礼しました」


でも迅の目は、私から逸れなかった。

私は笑って、話を逸らした。


「ねえ、そろそろ帰るね。暗くなってきたし」

航「送る」

「……いいよ」

航「送る」


私は結局頷いてしまった。

前に別れた曲がり角が見えた瞬間、胸が苦しくなる。


この角を曲がったら、ひとりだ。

でも、前よりも怖さは薄かった。

怖さが薄れるのが、怖かった。
< 77 / 126 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop