転生令嬢は騎士からの愛に気付かない
 ──仕事終わりにヴィルヘルムに連れられ、騎士団の副団長室で話をしたのは、数日前のことだ。
 そこで彼の想いを知り、アシュリーも想いを伝えたことでふたりは両想いとなった。
 そのあとアシュリーは実家に手紙を送り、ヴィルヘルムから話があったことと婚約の話を前向きに進めたいことを伝えたのだ。
 頑なだったアシュリーが前向きにと返事をしたことで何か言ってくるかとも思ったのだけれど、ヴィルヘルムからもマクブライド家に手紙を送ってくれたそうで、驚かれはしたが、それ以上に喜びの言葉が書き連ねてあった。

 だが、婚約の話を始めから前向きに考えていたアシュリーの家族はともかく、果たして自分はヴィルヘルムの家族に受け入れてもらえるのだろうか。
 そう考えていたのだけれど、どうやらヴィルヘルムの家族も、ふたりの婚約を反対しているどころか歓迎してくれているそうだ。
 しかしそこまで歓迎される理由がわからず、首を傾げたアシュリーに、

「仕事ばかりしていたから、結婚に……と言うか、女性に興味を持てないと思われていたらしくてな」

 とヴィルヘルムは苦笑交じりに話してくれた。
 両親に好きな女性がいると話したら、ひどく喜ばれたそうだ。根掘り葉掘り聞かれて答えているうちにヴィルヘルムも熱が入ってしまい、結果的に好意的に受け入れてもらえたという。
 詳しいことは何故か赤面したヴィルヘルムは教えてくれなかった。
 今はふたり合わせて休暇を取れるときに、お互いの家に挨拶に行くと言う話をしているところだ。
 ここのところ会えないことが多く、ローウェルには伝えられていなかったが、背中を押す、どころか、お尻を叩いてくれた彼にはきちんと報告をするべきだろう。

「……お陰様で、良縁に恵まれることに、なりました」
「それは良かった。うんうん、ボクの言う通り、悪い話じゃなかったでしょ」

 ローウェルは持っていた資料を机の上にできた紙の束の上に重ねると、視線を上げてアシュリーを見つめた。
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