【執着兄弟の溺愛シリーズ】エリート救急医は契約結婚した妻を極上の執着愛で囲い込む
 この日の夜、食事を終えてまったりしていたタイミングで家のチャイムが鳴った。
「あー!」
 来客者が来たと分かり、大和と和香が玄関までトタトタと競うように歩いていく。
 武尊さんが玄関扉を開けると、「こんばんは」と武尊さんの弟の翔真さんが笑顔を向けた。
 翔真さんが大好きな大和と和香は「キャー!」と声を上げて大喜びだ。
「こんばんは。どうぞ中へ」
 私が促すと、翔真さんは首を振った。
「小春さん、夜の忙しい時間にごめんね。これを渡しに来ただけで、すぐに帰るから」
 話を聞くと、翔真さんは仕事でイタリアに滞在していたらしい。海外へ行くと翔真さんはいつもたくさんのお土産を買ってきてくれる。
「これ、大和と和香にプレゼント」
 翔真さんはふたりに大人の手のひらほどの犬のぬいぐるみをプレゼントしてくれた。
「大和、和香、翔真さんにありがとうしようか?」
「あだだだだ!」
「どういたしまして」
 ふたりはぬいぐるみを胸に抱きしめながらぺこりと頭を下げる。翔真さんはそんなふたりの姿に目を細めた。
「相変わらず可愛いなぁ。連れて帰りたくなるよ」
 翔真さんは穏やかに微笑みながら、愛おし気にふたりの姿を見つめる。
「翔真、お前もそろそろ結婚を考える年だろ? 大丈夫なのか?」
「ふっ、兄貴に心配されなくてもちゃんと相手はいるから安心してよ」
「そうか。で、お相手はどんな人だ。小春と仲良くできそうな女性か?」
 武尊さんは真剣な表情で問う。
「ていうか、気になるところってそこ?」
 武尊さんの言葉に、翔真さんが呆れたように笑う。
「当たり前だろう。お前のお相手がどんな女性だって構わないが、小春を傷付けるような性格の悪い女性は勘弁だぞ」
「心配しなくても大丈夫だよ。俺が今まで出会ったことがないぐらいすごく良い子なんだ。小春さんともきっとすぐに仲良くなれるよ」
 彼女の姿を思い浮かべているのか、翔真さんは穏やかに言う。その表情から相手の女性を心から愛し、大切に思っているのが伝わってくる。
 すると、翔真さんは腕時計に目を落とした。
「実はこの後彼女と会うんだ。今度、兄貴と小春さんにも紹介するね」
「ええ、ぜひ」
 翔真さんは大和と和香を一人ずつ順番に抱き上げて頭を撫でると、明るく手を振って帰っていった。
< 71 / 72 >

この作品をシェア

pagetop