【新作】婚約破棄×0日婚で逆転の幸せを掴んだら、生涯愛されました。
キッチンからリビングへ移動して寺巻さんに挨拶すると、寺巻さんは「舞美絵さん、ですよね? 今日は呼んでくれてありがとうございます」と微笑んで私を見る。
「いえ、今日は来てくださってありがとうございます」
寺巻さんは嬉しそうな笑顔で「俺、今日は奥さんの手料理食べられるの、すごく楽しみにしてたんですよ」と言ってくれた。
「そうなんですか?」
「もうすっごく楽しみにしてたんですよ、俺」
そんな寺巻さんに向かって、賢哉さんは「おい、そんなに食い気味に言うなよ」と言っている。
「ごめんごめん」
「俺ちょっと着替えてくるから、お前はその辺適当に座ってろ」
「ありがとう」
「今お茶淹れますね」
私はキッチンへと戻り、冷蔵庫から取り出したお茶をコップに三人分注いだ。
「寺巻さん、どうぞ」
「ありがとうございます、奥さん」
私はそんな寺巻さんに「舞美絵でいいですよ、寺巻さん」とお茶を置いた。
「いやいや、奥さんのこと名前呼びしたら、アイツめっちゃ怒りそうなんで」
「え、そうですか?」
賢哉さんはすごく優しいんだけどな……。
「知らないと思いますけど、アイツ会社では結構ツンツンしてるんですよ?」
「そうなんですか? 全然知りませんでした」
そっか、ツンツンしてるんだ……。あんまりそんなイメージがないな。
真面目に仕事してるということは、よくわかっているのだけど。
「俺たちの前では結構無愛想なんですよ、四之宮」
「へえ……そうなんですね」
「おい。余計なこと言ってんじゃねえぞ、寺巻」
そこへ、着替えを終えた賢哉さんが寝室から出て来た。
「さあ? なんのことだろうね?」
「とぼけやがって……ったく」