【新作】婚約破棄×0日婚で逆転の幸せを掴んだら、生涯愛されました。
出会って数十分でのプロポーズ
そうやって愛想笑いしていると、急になんだか涙で視界が滲みだす。
「あれっ……」
私、泣いてる……?
涙が溢れていると知った瞬間にはもう遅くて、両眼からボタボタと涙がこぼれ落ちてくる。
「すみません……私、泣くつもりじゃっ……」
その瞬間、隣の彼は私の身体をそっと抱き寄せる。
「こういう時は、泣いていいんです。 むしろ、泣くべきです」
私はそんなことを言われたせいか、涙が止まらなくて声を押し殺して泣いてしまった。
「あなたは自分の人生をその彼に壊されたんです。 むしろ、もっと怒ってもいいくらいです」
どうしてこの人は、初対面の私にこんなに優しくしてくれるのだろうか。
妙にその優しさが、心にじんわりと染みていく。
「でも……両親は私の結婚をすごく喜んでくれてるんです。 だから、余計に心苦しくてっ……」
「……そうですよね。ご両親は、やっぱり嬉しいですよね」
彼は私の話を真剣に聞いてくれた。
「彼、雪輝って言うんですけど……彼の顔とかはまだ両親は知らなくて、婚約者を紹介したいとだけ言ってたんです。 彼を両親に紹介する日も、もう決めてたのに……まさか、こんなことになるなんて」
本当に情けないし、もう両親に合わせる顔もない。
「これから、幸せになるはずだったのにな……」
そんな私の言葉に、彼は「あなたなら、幸せになれますよ、きっと」と言葉をくれる。
「……私、男の見る目、なかったですね」
「そんなこと、ないと思いますよ」
「えっ……?」
その彼は、私に「たまたま婚約してた人が、そういう人だっただけで、見る目がないわけじゃないと思います」と言ってくれた。
「……そう、ですかね」