【新作】婚約破棄×0日婚で逆転の幸せを掴んだら、生涯愛されました。
寺巻は、大切な家族を二人も無くした。寺巻の父親は今介護施設に入居しているが、不慮の事故にあい記憶障害を発症してしまい、今では寺巻のことを覚えていないそうだ。
寺巻は今でも、そのことを気に病んでいる。
「……なあ、寺巻」
「ん? どうした?」
俺はハンドルを握る寺巻に向かって「もうすぐ……お前の姉ちゃんの命日だよな」と呟いた。
寺巻は少し間を置いてから「……ああ。もう六年になる」と短く答える。
「そっか。もうそんなになるのか……」
「……早いよな。 もう六年だ」
当時寺巻の姉ちゃんには、恋人がいた。 その恋人は、姉ちゃんの無実を訴えていた。
もう一度捜査してくれと、警察に何度も頭を下げていたそうだ。 しかし警察は取り合ってはくれず、結局再捜査されることもなかった。
でもその恋人は、寺巻の姉ちゃんの事件を担当していた警察官を待ち伏せし、ナイフで刺してしまい、その場で現行犯逮捕された。
警察官はなんとか一命を取り留めたものの、刺されたことが原因で麻痺を起こしてしまい、二度と警察官として働くことは出来なくなったそうだ。
容疑を認めたその恋人は、殺人未遂容疑で送検されたが、留置所の中で自殺したらしい。
寺巻自身、その恋人がそんな事件を起こすだなんて思ってもいなかったようで、驚いたようだった。
「姉ちゃん……生きてたらきっと、あの人と幸せに暮らしてただろうな」
「え……?」
あの人とは、きっと今はなき姉ちゃんの恋人のことだろう。
「俺は……これからもマトリとして、姉ちゃんの敵を討つ。 姉ちゃんみたいな被害者を、一人でも減らすために」
「……そうだな。頑張ろうな」
俺たちは、いつでも相棒だ。二人で一緒の相棒。