【新作】婚約破棄×0日婚で逆転の幸せを掴んだら、生涯愛されました。


「ところでさ、話は変わるんだけど」

「なんだよ?」

 寺巻は「奥さん、大丈夫か?」と俺に聞いてくる。

「はっ?」

「お前、何日も張り込みとかしてるだろ? 奥さん、お前がいなくて寂しくないのか?」

「……俺だって、寂しい思いさせてるのは、わかってるよ」

 舞美絵は理解がある人だけど、寂しい時はちゃんと寂しいと言ってくれる。
 俺はそんな舞美絵の素直なところが、好きなんだと思う。

「奥さんほったらかしにしてたら、そのうち愛想尽かされるぞ」

「そうだな。……そうならないように、気を付けないとな」

 舞美絵のことを一番大切に思わないといけないとは、俺だもんな。

「あんなに美味いおにぎり作ってくれる奥さんがいるんだから、大切にしてやらなきゃな」

「……ああ、わかってる」

 そんな俺に向かって、寺巻は「お前……麻薬取締官の仕事、ずっと続けるつもりなのか?」と口にする。

「え……?」

「この仕事だって危険なことが多いだろ。 奥さんのためを思うなら、この仕事じゃなくてもっと違う仕事にした方がいいんじゃねえの?」
 
 寺巻はきっと、自分のようなことになるんじゃなかと不安になって、俺にそう言ってるんだと思う。

「お前はもう、一人じゃないだろ。……奥さんのこと一人にさせたら、誰が奥さんのこと守るんだよ」

 寺巻の言葉に俺は、何も言えなかった。 確かに、寺巻の言うとおりだと思ったからだ。

「……お前の言うとおりだな」

「お前には、守らないといけない人が出来たんだ。 自分のことだけじゃなくて、奥さんのことを考えてやらないと」

 確かにそうだ。 舞美絵を一人にしたら、舞美はどうなる……?

「……でも俺さ、舞美絵と約束したんだ」
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