すき、きらい、キス。
『わ……悪いと思ってんなら聞くなー!!!』


……と、まぁこんな調子で始まり。

2学期になり1ヶ月ほどが過ぎた今も、ことあるごとにバトルは繰り広げられている。


「あーあ。わたし結構好きだったんだけどな、あんた達の夫婦喧嘩」

「夫婦言うな」

「今更。うちのクラスの名物じゃん」

「勝手に名物にするな!」


月城は、他の子達にはにこやかに話すくせして、わたしには性格や口の悪さを隠そうとしない。

かく言うわたしも言葉遣いがいいとは言い難く、余裕綽々な様子で煽られると全力で噛みついてしまう。

……そんな血で血を洗うようなやり取りの、どこが夫婦だって言うんだ。


「あと1ヶ月でその不本意な名称ともサヨナラだと思うと、せいせいするよ」


鼻息荒く言うと、和佳奈はそれ以上何も言わずに肩を竦めた。




事件が起こったのは、月城の転校が学年全体に知れ渡った翌日のことだ。

うちのクラスは毎月初めに席替えが行われる。

10月も例外ではなく、教室は朝から浮き足立っていた……のだけど。


「……なんで?」

「……こっちの台詞だわ」


数字の書かれたくじを片手に黒板に名前を書きに行くと、月城とかち合った。

長いチョークを奪い合い、勝利したわたしは、廊下側一番後ろの席の欄に名前を書こうとした。
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