あの夏、君だけを見ていた
10話 麻婆豆腐
「お兄ちゃんおかえり」
「夏海、ただいま」
妹の夏海が出迎えてくれる。
「今日お父さん遅いって」
「分かった、今日何つくろっか」
父さんが遅い日はだいたい俺がごはんをつくる。
「なんでもいいよー」
「それがいちばん困るんだって」
うちには母さんがいない。
俺が高1の時に病気で死んだ。
「よし、麻婆豆腐つくるか」
「え?なんか良いことあった?」
「……なんでだよ」
「お兄ちゃん、なんか良いことあった日は手のこんだ料理作るよ」
……え。そうだっけ?
「……良いこと、別に無いよ」
無いよ。だって、俺、男として見られてねーもん。
「夏海、ただいま」
妹の夏海が出迎えてくれる。
「今日お父さん遅いって」
「分かった、今日何つくろっか」
父さんが遅い日はだいたい俺がごはんをつくる。
「なんでもいいよー」
「それがいちばん困るんだって」
うちには母さんがいない。
俺が高1の時に病気で死んだ。
「よし、麻婆豆腐つくるか」
「え?なんか良いことあった?」
「……なんでだよ」
「お兄ちゃん、なんか良いことあった日は手のこんだ料理作るよ」
……え。そうだっけ?
「……良いこと、別に無いよ」
無いよ。だって、俺、男として見られてねーもん。