ゆびきりげんまん
Prologue



そこは地図の端にあるような山と川に囲まれた場所。



ざわざわと木々が風に揺れる音。
とめどなく流れる水の音。



春になれば土手に黄色の菜の花が一面に咲き、夏になれば夜の静けさを破るように蛙の鳴き声が響き渡る。

秋には木々の葉っぱが茶色に変わり山ごと季節が移り変わり、冬には吐く息も白く雪が町を真っ白に塗りつぶす。


どこを切り取っても変わらない山と川。
そして似たような家が点々と建っている町。






『────ゆびきりげんまん、しよう』






おもむろに差し出された誰かの手は、小指だけが立てられていた。

はっきりとは分からないその子の顔。
言われるがまま私も小指を立ててそっと手を差し出した。

小指と小指が絡まる感触と、どこか懐かしい誰かの声が耳に残る。






『やくそくだよ』






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