ゆびきりげんまん
家族ではない私を、この人達は受け入れてくれている。
「由紀さん、何か手伝うことある?」
「いいのいいの!これ持って行くだけだから紬ちゃんは座って待ってて?」
両親が亡くなったという時の記憶は曖昧でほとんど無いに等しい。
由紀さん達によると不慮の事故だったようだ。
私はまだ子供だったから覚えていないんだろう。
2人には感謝している。
5年も住まわせてくれていることも、こうして高校まで通わせてくれていることも。
きっと、私が望めば大学まで行かせてくれるんだろう。
「あ、そうだ紬ちゃん。今何か欲しい物はある?」
「欲しい物?」
誠さんが座っている食卓へ向かい合うように椅子に座るとハッと何かを思い出したようにそう聞かれた。
「例えば、そうだな……。化粧品とか!洋服とか、バッグとか」
うーん?と唸っていると由紀さんが味噌汁をお盆に乗せてテーブルへ運びながら「急に聞かれたって困るわよね」と苦笑いしている。
「そうかぁ。あ、じゃあ考えといて!」
「?…はい」