ゆびきりげんまん
「ねぇ、連絡先教えてほしいんだけど」
ポケットからスマホを取り出した神崎さんはQRコードの画面を私に差し出した。
拒否なんてさせない、静かな圧を感じて少しだけ後退ってしまう。
「もっと、ゆっくり話したいから」
「…いや、」
「あ、いかがわしい意味なんて1ミリもないよ。そこだけは分かってほしい。無理だと思ったらブロックしていいし、鬱陶しかったら既読無視してもらっても構わない」
「どうして、そこまで私に、」
「言ったでしょ?ずっとつむの事探してたって。やっと、…やっと見つけたのにこの機会を逃したくないんだ」
また会えなくなるのは嫌なんだよ、と震えた声で彼は言う。
「約束するから。絶対につむの嫌な事しないって」
ゾクリとした何かが背中を伝った。
思わず視線を上げると真っ黒な目で真っ直ぐに私を見つめる神崎さんと目が合った。
…逸らせない。
「……ゆびきりげんまん、しようか?」
ドクン、と心臓が鳴った。
ふわりと柔らかく笑っていたはずの彼はどこにもいない。
射止めるような鋭い視線に、身体が金縛りにあったかのような感覚に襲われて動けなくなった。