ゆびきりげんまん
「ゆびきり、げんまん……?」
「…あれ、知らない?」
「いや、知ってる……。知ってますけど、」
破った方は針千本を飲まされるというあの曲。
戸惑う私を他所にすくうように彼は私の右手の小指に自分の小指を絡ませてニヤリと笑った。
「ゆーびきりげんまん、嘘ついたら針千本飲ーますっ、指切った」
その風貌に似合わない子供向けの歌に、何故か鳥肌が止まらなかった。
スマホ貸して、と言われるがまま持っていたスマホが取り上げられ返ってきた時には《神崎 律》というアカウントが増えていた。
「僕は約束を守るから」
深い呼吸が浅くなっていくのを感じた。
ドクドクと心臓の音がうるさい。
『ハリセンボン?』
『もう、違う違う。魚じゃなくて、“針千本”』
『えぇ、何それ?痛いよぉ』
『そういう事じゃないのにー…』
……知らない。
私は彼の事を……、知らないはずなのに。
ズキン、と痛んだ頭を知らないフリで過ごした。