ゆびきりげんまん
廊下の端の方に置かれた掃除道具入れから箒を取り出し、葵唯と横に並んで階段をゆっくりと降りる。
「でも珍しいね、授業中に寝るとか」
どんだけ名前呼んでも起きなかったから焦ったよ、と葵唯は呆れながら笑っている。
階段の窓から差し込む日がちょうど葵唯の髪の毛に当たっていて、透けて見えた。
箒に寄り掛かるように立って「んー…」と声を漏らすと葵唯が何かあったの?とでも言いたげな表情で私を見ている。
「なんか、最近似たような夢をよく見るんだよねー…」
「夢?」
「そう、知らない場所が出てくんの」
モヤがかかったようにボヤけた夢は時間が経てば思い出せなくなる。
それでも胸がザワつくというか、妙な感覚だけが生々しく残っているのは確かで。
「夢ってそんなもんじゃない?」
「んまぁ…、そうだけど」
階段掃除は先生が滅多に来ないからサボっていても怒られることはあまりない。
最初こそ箒で掃除をしてる風に動きながら話していたのが今では一応手に持っている、というだけで壁に寄りかかって話している始末。
「げ、葵唯ちゃん、紬ちゃん!先生来た!」
「えっ、やば」
うーん、と唸っていると踊り場にいた子達がヒソヒソと声のボリュームを下げて教えに来てくれた。