ゆびきりげんまん


「また車見かけたらすぐに連絡して。僕がこの前あげたそのキーホルダー、お守り代わりに持ち歩いてね」



基本的に平日は学校だし、土日も葵唯はバイトだから外に出掛ける事はあまりない。

強いて言うなら由紀さんと夕食の買い物に行くくらいで。



「分かりました、お守りにします」



神崎さんに見えるように鞄を動かすと、「良い子」とふわりと笑った。

なるべく優しくドアを閉めて家へと向かう。
直前で振り返るとまだそこに神崎さんの車は止まっていて、本当に心配してくれたんだと少し嬉しい気持ちになった。


《家に着きました!》

《無事に帰れたみたいで良かった》


ほんわかした雰囲気の猫がグッと親指を上げたスタンプと一緒に送られてきた返信。

…神崎さんも猫が好きなんだろうか。


私に彼との記憶がないことをしっかり理解して、一定の距離を保って一線を越えようとはしないその気遣いに優しさを感じて、やっぱり人は見かけで判断してはいけないと身を持って知った。


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