ゆびきりげんまん
「……はっ?メイドカフェ?メイド服着たの!?」
「男女逆転の、ですよ?私は執事のコスプレしてました」
「いやっ、それでも!うわっ、めちゃくちゃ見たかったのに!」
写真ないの!?と声を荒らげる神崎さんと同時にベンチがギシッと音を立てる。
辺りはすっかり暗くなり小さな子達も保護者と一緒に帰って行った頃。
文化祭では何が売っていて、何が美味しかったとか大変だったかを話した。
話す度にククッと笑う神崎さんに見惚れてまう私もいた。
「…でも、メイド服じゃなくて良かった」
「え?」
「そんなの着てたら頭狂いそう」
「……えっ?」
「あ、いや…。可愛すぎて多分僕おかしくなっちゃうんじゃないかなって」
「ふふっ、なんですかそれ」
その後、「せっかくだから食べてもいい?」とラッピング袋を開けてクッキーをひと口頬張った神崎さんは「うまっ」と声を漏らしながら食べてくれた。
「ね、つむ」
「?」
「今日の埋め合わせって訳じゃないけど、今度またカフェにでも行かない?」
私より身長が高くて、座っても私が少し見上げるくらいなのに「頑張ってつむが好きそうな所探すから」、と何故か上目遣いのその表情に「ずるい」と声が出そうになった。
「はい、約束です!」
少し近付いた拍子に煙草と甘い香水の混ざった匂いと、私の返事に優しく微笑んだその大人さにドキドキしてしまった。


