Dying music 〜音楽を染め上げろ 高2編~
「…はい、ということでCyanとコード、久しぶりのステージは楽しんでもらえたでしょうか?」
曲が完全に止まったあと、2人で客に挨拶をする。客は感想を叫んだり、指笛を鳴らしたりと熱気で満ちていた。
「いやぁ嬉しいですね!初っ端のHIPHOPもエンジン全開で盛り上がりましたし。俺らも楽しかったです。」
「それではまた今度お会いしましょう。…せーぇのっ」
「「ありがとうございました」」
深く頭を下げ、ステージを降りた。仮面を取り、水分補給をする。
がなりや力強く歌う場面が多かったから疲れた。まだ喉がゴロゴロしている。今日は全3曲。人多かったし、割と知名度ある曲が多かったのもあり、いつも以上にウケがよかったし。
「Cyan、HIPHOP向いていると思うよ。ラップ上手くなってるし、こういう曲も似合ってる。」
水を飲み終わるとコードにそう言われる。1曲目のHIPHOPは僕が提案したものだった。コードの影響もあってか最近はHIPHOPに興味を持ち始めた。それでちゃんと歌ってみたいなぁと思って選んだ。
確かにこういう系統は歌っていて楽しい。でもー
「技術がまだまだです。」
ラップは同じ音の繰り返しが多い。だからこそ、表現技法や発声の差が如実に出る。ずっとボカロや邦ロックで育ってきたからHIPHOP特有のノリがまだ身体に馴染んでいない。
コードが歌うと、しっかり意味やノリ、ニュアンスが聞き手に伝わるんだけれど、僕はまだ修得できていない。
以前コードに相談したとき、「音とビートをよく聞くこと」って言われたな。あとは…「裏拍の取り方や崩れ方を身体で覚えること」、 そう言われた。 だから最近は色々な曲を聴いて、耳を鍛えている。
時計を見ると、もう21時を回っていた。 高校生は22時を過ぎると補導対象になる。 そろそろ帰らないといけない。
