君と終わった街で
『たしかに』

送る。

『でも文姫全然久しぶり感ない』

既読。

少し間が空く。

『それ分かる』

返ってきた文章に、洸太の胸が静かに熱くなる。

昔みたいだった。

いや。

昔より、自然かもしれない。

高校の頃は、もっと感情が先に出ていた。

好きになりすぎて。

勝手に苦しくなって。

文姫の言葉ひとつで浮き沈みしていた。

でも今は違う。

ちゃんと会話ができる。

ちゃんと笑い合える。

その時間が、ただ嬉しかった。

やり取りを続けながら、洸太はマンションの階段を上がる。

部屋へ入る。

電気をつける。

いつもの一人暮らしの部屋。

静かで。

少し散らかっていて。

帰って寝るだけの場所だった。

でも今日は、不思議と空気が違って感じた。

バッグをソファへ放り、洸太はそのまま床へ座り込む。

スマホを見る。

文姫とのLINE。

たった数日。

それなのに、やり取りの履歴が増えていくのが妙に嬉しかった。

『明日さ』

洸太は少し迷ってから打ち込む。

『なんか普通に楽しみすぎて寝れないかも』

送信。

既読。

数秒後。

『子供じゃん』

返ってくる。

洸太は笑う。

『文姫は?』

送る。

少し間が空いて。

『ちょっと分かる』

その短い文章に、胸の奥が静かに熱くなる。

『久々にこういう感じだから』

続けて届いたメッセージを見て、洸太は少し目を伏せた。

自分だけじゃない。

文姫も、同じように落ち着かなくなっている。

その事実が嬉しかった。

『でも』

文姫からまたメッセージが来る。

『明日変な空気になったらどうしよ』

洸太は思わず小さく笑う。

『ならないだろ』

送る。

『一昨日二時間くらい普通に喋ってたじゃん』

既読。

少し間。

『たしかに』

『でもなんか今日ずっとソワソワしてる』

その文章を見た瞬間。

洸太の胸が静かに鳴る。

文姫も同じなんだと思った。

自分だけじゃない。

会うのを楽しみにして。

少し緊張して。

落ち着かなくなっている。

『安心した』

気づけば、そう送っていた。

『俺だけかと思ってた』

送信。

既読。

それから。

『洸太は昔から分かりやすいから』

返ってくる。

洸太は苦笑する。

高校の頃。

好きなのが隠せないくらい顔に出ていた。

文姫が他の男と話してるだけで落ち込んで。

名前を呼ばれただけで機嫌が良くなって。

自分でも、笑えるくらい単純だった。

でも今。

また同じようになり始めている気がした。
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