君と終わった街で
雨はどんどん強くなっていく。
髪も。
服も。
全部、びしょ濡れだった。
それでも文姫は止まれなかった。
駅へ向かう道を、ただ必死に走る。
視界が滲む。
雨のせいなのか。
涙なのか。
自分でも分からない。
どうして今さらなんだろうと思う。
高校の頃。
あんなに真っ直ぐ好きでいてくれたのに。
自分は応えられなかった。
それなのに。
十年経って。
別の女の人の存在を感じた瞬間、こんなに苦しくなるなんて。
勝手すぎる。
最低だ。
文姫は震える息を吐きながら、スマホを取り出す。
洸太からLINEが来ていた。
『文姫、大丈夫?』
『ごめん、嫌なことしたかな?』
その優しさが、今はつらい。
文姫は画面を閉じた。
返信できなかった。
電車へ乗る。
冷房が濡れた身体へ刺さるみたいに冷たい。
周りの視線が少し気になる。
でも今は、それどころじゃなかった。
頭が痛い。
胸も苦しい。
家へ着いた頃には、身体が少し震えていた。
すぐにシャワーを浴びた。それでも身体は震えている。
部屋は静かだった。
でも頭の中だけ、ずっとぐちゃぐちゃだった。
洸太。
平井桃花。
昨日のキス。
好き。
考えたくないのに、全部浮かんでくる。
そのまま、文姫は浅い眠りへ落ちた。
翌朝。
最悪だった。
身体が重い。
喉が痛い。
熱っぽい。
スマホを見ると、洸太からまたLINEが来ていた。
『昨日ほんとごめん』
『なんか俺変なことしたならちゃんと話したい』
その文章を見ただけで、胸が苦しくなる。
文姫はスマホを伏せた。
返せない。
今、洸太と話したら。
全部ぐちゃぐちゃになってしまいそうだった。
起きるのも辛かったけどそれでも文姫は会社へ向かった。
休みたくなかった。
一人でいる方が、余計なことを考えてしまう気がしたから。
でも。
昼過ぎには、もう限界だった。
熱が上がっているのが分かる。
視界がぼんやりする。
後輩に心配されながら、文姫は早退することになった。
外へ出る。
空はまだ重たい灰色だった。
昨日の雨の名残みたいに、空気が湿っている。
文姫はふらつく足で、交差点へ向かう。
そして。
信号待ちの人混みの向こうに。
見覚えのある姿を見つけた。
髪も。
服も。
全部、びしょ濡れだった。
それでも文姫は止まれなかった。
駅へ向かう道を、ただ必死に走る。
視界が滲む。
雨のせいなのか。
涙なのか。
自分でも分からない。
どうして今さらなんだろうと思う。
高校の頃。
あんなに真っ直ぐ好きでいてくれたのに。
自分は応えられなかった。
それなのに。
十年経って。
別の女の人の存在を感じた瞬間、こんなに苦しくなるなんて。
勝手すぎる。
最低だ。
文姫は震える息を吐きながら、スマホを取り出す。
洸太からLINEが来ていた。
『文姫、大丈夫?』
『ごめん、嫌なことしたかな?』
その優しさが、今はつらい。
文姫は画面を閉じた。
返信できなかった。
電車へ乗る。
冷房が濡れた身体へ刺さるみたいに冷たい。
周りの視線が少し気になる。
でも今は、それどころじゃなかった。
頭が痛い。
胸も苦しい。
家へ着いた頃には、身体が少し震えていた。
すぐにシャワーを浴びた。それでも身体は震えている。
部屋は静かだった。
でも頭の中だけ、ずっとぐちゃぐちゃだった。
洸太。
平井桃花。
昨日のキス。
好き。
考えたくないのに、全部浮かんでくる。
そのまま、文姫は浅い眠りへ落ちた。
翌朝。
最悪だった。
身体が重い。
喉が痛い。
熱っぽい。
スマホを見ると、洸太からまたLINEが来ていた。
『昨日ほんとごめん』
『なんか俺変なことしたならちゃんと話したい』
その文章を見ただけで、胸が苦しくなる。
文姫はスマホを伏せた。
返せない。
今、洸太と話したら。
全部ぐちゃぐちゃになってしまいそうだった。
起きるのも辛かったけどそれでも文姫は会社へ向かった。
休みたくなかった。
一人でいる方が、余計なことを考えてしまう気がしたから。
でも。
昼過ぎには、もう限界だった。
熱が上がっているのが分かる。
視界がぼんやりする。
後輩に心配されながら、文姫は早退することになった。
外へ出る。
空はまだ重たい灰色だった。
昨日の雨の名残みたいに、空気が湿っている。
文姫はふらつく足で、交差点へ向かう。
そして。
信号待ちの人混みの向こうに。
見覚えのある姿を見つけた。