君と終わった街で
まるで、ずっと張っていたものがやっと緩んだみたいだった。
文姫の胸が、ぎゅっと締め付けられる。
そんな顔をさせるほど。
洸太はずっと、自分を想ってくれていたんだと思った。
部屋は静かだった。
窓の外には、雨上がりの薄い光。
少しだけ明るくなった空。
10年振りに再開し、あの日みたいだと文姫は思う。
違うのは。
今、自分がちゃんと洸太を見ていることだった。
洸太は小さく笑って、額へ手を当てる。
「……やば」
掠れた声だった。
「今、めちゃくちゃ嬉しい」
その言葉に、文姫の胸がまた熱くなる。
高校の頃。
洸太はもっと分かりやすかった。
嬉しい時も。
傷ついた時も。
全部顔に出ていた。
でも今は、大人になった分だけ隠せるようになっている。
それなのに。
今の洸太は、隠しきれていなかった。
文姫は思わず小さく笑う。
「顔、昔みたい」
洸太が少し眉を寄せる。
「どんな顔だよ」
「すごい嬉しいの隠せてない」
洸太は観念したみたいに笑った。
「無理だろ、これは」
その空気がおかしくて。
文姫もつられて笑ってしまう。
胸の奥にあった重たいものが、少しずつ溶けていく。
洸太は静かに文姫を見る。
「でも」
低い声だった。
「今、熱で弱ってる文姫に勢いで返事させたくない」
文姫の胸が小さく揺れる。
洸太は続ける。
「だから、ちゃんと元気になってから聞かせて」
真っ直ぐだった。
自分の気持ちを押しつけない。
でも逃げもしない。
その優しさが、文姫にはどうしようもなく愛しかった。
文姫は小さく頷く。
「……うん」
洸太が少し笑う。
それから、そっと文姫の頭を撫でた。
その瞬間。
文姫の呼吸が止まりそうになる。
優しい手だった。
怖くない。
むしろ、安心する。
洸太は気づいていないみたいに、静かな声で言う。
「今はちゃんと寝ろ」
文姫は小さく笑った。
「……子供扱い」
「病人だから」
「うん」
そんなやり取りすら、幸せだった。
文姫はゆっくり目を閉じる。
洸太が近くにいる。
その事実だけで、胸の奥が温かかった。
文姫の胸が、ぎゅっと締め付けられる。
そんな顔をさせるほど。
洸太はずっと、自分を想ってくれていたんだと思った。
部屋は静かだった。
窓の外には、雨上がりの薄い光。
少しだけ明るくなった空。
10年振りに再開し、あの日みたいだと文姫は思う。
違うのは。
今、自分がちゃんと洸太を見ていることだった。
洸太は小さく笑って、額へ手を当てる。
「……やば」
掠れた声だった。
「今、めちゃくちゃ嬉しい」
その言葉に、文姫の胸がまた熱くなる。
高校の頃。
洸太はもっと分かりやすかった。
嬉しい時も。
傷ついた時も。
全部顔に出ていた。
でも今は、大人になった分だけ隠せるようになっている。
それなのに。
今の洸太は、隠しきれていなかった。
文姫は思わず小さく笑う。
「顔、昔みたい」
洸太が少し眉を寄せる。
「どんな顔だよ」
「すごい嬉しいの隠せてない」
洸太は観念したみたいに笑った。
「無理だろ、これは」
その空気がおかしくて。
文姫もつられて笑ってしまう。
胸の奥にあった重たいものが、少しずつ溶けていく。
洸太は静かに文姫を見る。
「でも」
低い声だった。
「今、熱で弱ってる文姫に勢いで返事させたくない」
文姫の胸が小さく揺れる。
洸太は続ける。
「だから、ちゃんと元気になってから聞かせて」
真っ直ぐだった。
自分の気持ちを押しつけない。
でも逃げもしない。
その優しさが、文姫にはどうしようもなく愛しかった。
文姫は小さく頷く。
「……うん」
洸太が少し笑う。
それから、そっと文姫の頭を撫でた。
その瞬間。
文姫の呼吸が止まりそうになる。
優しい手だった。
怖くない。
むしろ、安心する。
洸太は気づいていないみたいに、静かな声で言う。
「今はちゃんと寝ろ」
文姫は小さく笑った。
「……子供扱い」
「病人だから」
「うん」
そんなやり取りすら、幸せだった。
文姫はゆっくり目を閉じる。
洸太が近くにいる。
その事実だけで、胸の奥が温かかった。