20年越しの初恋カメラの向こうの君と
入浴を済ませた二人は、これから福岡へ向かう旅と里帰りのため、キャリーバッグに必要な荷物を丁寧に詰め込んだ。準備が整うとシャワーを浴び、長旅に備えて早めに床についた。
翌朝、二人は目を覚ますとすぐに身支度を整え、出かける準備を進めた。荷物を持って車に乗り、成田空港へと向かう。空港の駐車場に車を停めて降りると、そのまま建物の中へと足を踏み入れた。
まず二人はタリーズコーヒーに立ち寄り、朝食を取ることにした。ハニーウォルナッツドーナツ、ふんわり7穀のシュガードーナツ、シナモンロール、塩あんバターのベーグルサンド、そしてカフェモカを二つ注文し、テーブルを囲んで分け合って食べた。温かい飲み物と甘いパンで体が目覚めると、食べ終わった二人は店を出て、チェックインカウンターへと向かった。
手続きを済ませて飛行機に乗り、しばらくの空の旅の後、福岡空港に到着した。ターミナルを出るとタクシーに乗り、レンタカー会社へ向かって車を借り受ける。運転を交代しながら、最初に向かったのは博多ラーメンで有名な「博多一双」だった。
席に着き、メニューを開いて二人は味玉ラーメンを二つ、餃子を一皿注文した。待っている間に近況を話していると、すぐに熱々のラーメンが運ばれてくる。愛斗はスマートフォンで記念に写真を撮り、二人で「いただきます」と手を合わせて食べ始めた。
「このラーメン、本当に美味しいね」
「うん、さすが博多だ。スープが濃厚で麺とよく合う」
ラーメンと餃子を平らげ、満足そうに会計を済ませると、再びレンタカーに乗り込み、直方へと車を走らせた。
直方に到着した二人が向かったのは、愛斗が高校時代に大変お世話になった仲道先生の自宅だった。訃報を聞き、翌日の葬儀に合わせてではなく、落ち着いた今改めてご挨拶と報告に来たのだ。家に入ると、仏間に案内され、二人は静かに仏壇の前に進み、線香を上げて手を合わせた。
お参りを終えると、愛斗は遺族の方に深く頭を下げて言葉を述べた。
「この度は仲道先生の突然のご逝去、心からお悔やみ申し上げます。高校時代に大変お世話になりました末山愛斗です。遠くから福岡へ戻ってきまして、先生に最後のご挨拶に伺いました」
遺族の方も柔らかく応えてくれる。「ありがとうございます。愛斗くん、久しぶりですね」
少し話が落ち着いたところで、愛斗は改めて姿勢を正した。
「実はこのたび、歌手の仙道敦子さんと結婚することになりました。先生が昔、『自分の道を信じて進め』と励ましてくださったおかげで、こうして新しい一歩を踏み出せます。何よりも先生に最初に報告したくて、ここに伺いました」
隣に立つ敦子も前に出て、丁寧に頭を下げる。
「私が妻になる仙道敦子です。先生が愛斗くんをいつも支えてくださったという話を、いつも聞いていました。心から先生のご冥福をお祈りいたします。これからは二人で力を合わせて、しっかりと生きていきます」
遺族の方は驚きながらも、柔らかい笑みを浮かべた。
「え、まさか仙道敦子さんとご結婚なさるのですか?」
「はい。ドラマで共演したことをきっかけに親しくなり、私からアプローチして交際を重ね、この間プロポーズして承諾してもらいました」
「そうですか… よかったですね、本当におめでとう。高校の頃から、愛斗くんは真っ直ぐな心を持っていましたから。先生もきっと天国で喜んでいると思いますよ」
「ありがとうございます」
愛斗は心からの感謝を込めて、もう一度仏壇に向かって手を合わせた。先生に見守られながら、これから始まる二人の新しい生活が、静かに胸に広がっていくようだった。
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