20年越しの初恋カメラの向こうの君と
トークコーナーが終わると、敦子たちは愛斗にそっと別れを告げ、ステージを降りて客席へと向かった。会場の明かりが落ち着く中、座席に着くと、隣や前後には愛斗のファンたちが集まっていた。すると何人かが手に持ったボードやうちわを掲げており、そこには真戸の写真が貼られ、「ルビ」という文字も添えられているのが見えた。敦子はそれを目にして、ファンたちが愛斗の周りの人々にまで関心を寄せてくれていることが嬉しく、自然と頬が緩んだ。
しばらくすると、会場の照明が一気に暗くなり、ステージにスポットライトが灯った。ライブが始まったのだ。愛斗がギターを抱えて立つと、会場から大きな歓声が沸き起こる。彼は深く息を吸い、力強く弦を弾き始めた。「離さないこの手」、続いて「僕の大切な人」――二曲を情感たっぷりに歌い上げる声が、会場の隅々まで響き渡った。
次の曲に移り、「愛してる」という歌詞の一節が訪れた瞬間、愛斗はまっすぐに敦子の座る方向を向き、はっきりと指を差しながら歌った。その仕草を見て、周りのファンたちは「自分に向けてくれたのかも」と勘違いし、一斉に興奮して手を振り声を上げた。
歌い終えると、愛斗はマイクを手に取り、客席に向かって呼びかけた。
「今日は、私の妻である敦子が来てくれています。それから、友達の吉田栄作さんと辛島美登里さんも応援に駆けつけてくれました」
名前を呼ばれた敦子、栄作、美登里は立ち上がり、手を振って挨拶をする。温かい拍手が送られる中、三人は再び席に着いた。後ろの席からは、「やっぱり奥さんだったんじゃん」「残念だけど、敦子さん綺麗だもんね。私にはとても叶わないな」といったささやき声が聞こえてきた。
ライブが終了すると、愛斗は楽屋に戻って着替えを済ませ、待ち合わせ場所へと向かった。そこには敦子たちが待っていた。愛斗は駆け寄ると、何も言わずに敦子を抱き寄せ、柔らかく口づけた。
「来てくれて、ありがとう」
「うん」
続いて栄作と美登里にも向き直り、丁寧に頭を下げる。
「お二人もわざわざ来てくださって、本当にありがとうございます」
四人はしばらく話し込んだ後、車に乗り込み、近くの居酒屋へと移動した。ライブの打ち上げとして、料理と酒を囲み、笑い声の絶えない時間が流れた。二時間ほど過ぎたところで、四人は店を後にした。
愛斗と敦子が二人きりになると、帰り道にあるコンビニでカフェオレを買って、その場で一口ずつ飲んだ。夜風が二人の髪をなでる中、愛斗は突然敦子を力強く抱きしめた。
「敦子、今日は辛い思いをさせてしまったね。もっと早く側にいてあげられなくて、ごめん」
敦子は愛斗の背中に腕を回し、彼の肩に顔を寄せる。
「愛斗くんは悪くないよ。仕事だったんだから」
「……ありがとう」
言葉が落ちると同時に、二人は静かに口づけを交わした。帰宅すると、愛斗は敦子をベッドに横にさせ、そっとまた唇を重ねた。次第にその口づけは長く深くなり、敦子は少しずつ息苦しさを感じ始めた。愛斗ははっと気づき、慌てて体を離した。
彼の表情には、言葉にできない辛さや焦りが浮かんでいた。それを見た敦子は、何も問わずに自ら腕を伸ばし、愛斗の胸元に抱きついて彼を慰めた。二人は再び柔らかく口づけを交わし、愛斗は敦子をそっと抱きしめたまま、夜の静けさの中で互いの温もりだけを感じていた。
愛斗は敦子にキスをした。
敦子にきすをしてから愛斗は敦子とお風呂に入った。
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