劣等生と光の花束〜ある魔女の秘密〜
「マーキュリーにネビュラじゃないか。部活、休みなのに偉いな」

そう言い、美術室に入ってきたのはクロードだった。クロードはイーゼルに描きかけの絵を立てかけ、絵の具を塗っていく。水彩画を描いているようだ。

「ファーガス先輩も、休みなのに来てるじゃないですか」

マシューがそう言うと、クロードは顔を顰めて息を深く吐く。怒らせるようなことを言ったか、と焦るマシューだったが、それは杞憂だった。

「僕は美術があまり得意じゃなくてな。でも、僕の家は芸術を好む一族なんだ」

「絵を描くことは嫌いですか?」

マシューの問いにクロードは首を横に振る。そこには優しい笑みがあった。

「いや。好きだよ。ただやっぱり僕は下手だ。ロレンツォにはいつも馬鹿にされる」

マシューは普段の部活の様子を思い返す。お国柄か女性には優しいロレンツォは、マシューたち男子勢にはどこか冷たい。その中でもクロードは、「センスがない」や「配色が悪い」など辛口なことを言われることが多かった。
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